名義変更って登録するだけじゃダメなの?相続でよくある誤解を司法書士がわかりやすく解説

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親が亡くなり、実家や土地を相続することになったとき、
「名義変更をしないといけないらしい」
という話を聞くことがあります。
そして多くの方は、
「市役所の住所変更みたいなものかな」
「新しい名前を登録すれば終わりでしょ」
と思われます。
実際にご相談でも、
「名義変更したいんです」
という言葉をよく耳にします。
しかし、不動産の名義変更は単なる登録情報の変更ではありません。
なぜ、戸籍を集めたり、遺産分割協議をしたり、たくさんの書類が必要になるのでしょうか。
今回は、不動産の名義変更がなぜ簡単にできないのかについて、できるだけわかりやすく解説します。

名義変更とは何をする手続き?

まず最初に知っていただきたいのは、不動産の名義変更とは単なる名前の書き換えではないということです。
例えば住所変更であれば、
「今までの住所」

「新しい住所」
に変更するだけです。
しかし不動産の場合は違います。
不動産の名義人は、その不動産の所有者を意味しています。
つまり、
「誰のものなのか」
を公に示しているのです。
そのため、不動産の名義変更は、
「所有者が変わったことを登記簿に反映する手続き」
という意味を持っています。

所有権って何?

所有権という言葉を聞くと難しく感じるかもしれません。
しかし、実は皆さんも日常生活の中で所有権を持っています。
例えばコンビニでアイスを買ったとします。
お金を払った瞬間、そのアイスはあなたのものになります。
食べるのも自由です。
家族にあげるのも自由です。
冷凍庫にしまうのも自由です。
捨てるのも自由です。
なぜ自由にできるのでしょうか。
それは、そのアイスの所有者だからです。
法律では、この「自分のものとして自由にできる権利」を所有権といいます。

不動産も基本的には同じ

土地や建物も考え方は同じです。
家を購入すれば、その家は購入した人のものになります。
住むこともできます。
貸すこともできます。
売ることもできます。
建て替えることもできます。
つまり、その不動産の所有者なのです。
ここまではアイスと同じです。
しかし、大きな違いがあります。

アイスには固定資産税がかからない

コンビニで買ったアイスを冷凍庫に入れていても税金はかかりません。
持っているだけでお金を取られることもありません。
しかし、不動産は違います。
土地や建物を所有していると、毎年固定資産税がかかります。
市区町村から納税通知書が届き、税金を支払う必要があります。
つまり不動産を所有するということは、
「自由に使える権利」
だけではなく、
「お金を負担する責任」
も発生するということです。

不動産は管理もしなければならない

固定資産税だけではありません。
建物が古くなれば修繕が必要になります。
空き家なら定期的に見回る必要があります。
庭木が伸びれば剪定もしなければなりません。
草が伸びれば近隣から苦情が来ることもあります。
台風で屋根が飛べば修理が必要です。
つまり不動産は持っているだけで終わりではありません。
所有者には管理責任もあるのです。

名義変更とは責任者を決めること

ここが非常に大切なポイントです。
多くの方は、
「名義変更=登録」
だと思っています。
しかし実際には、
「名義変更=責任者を決めること」
なのです。
これから先、
・誰が固定資産税を払うのか
・誰が管理するのか
・誰が売却を決めるのか
・誰が貸すことを決めるのか
・誰が修繕費を負担するのか
こうしたことを決めるために名義変更を行います。
だからこそ簡単にはできません。

親が亡くなると誰のものになる?

相続が発生すると、ここで問題が生じます。
例えばお父様が亡くなった場合、
お父様が持っていた所有権はどうなるのでしょうか。
長男でしょうか。
長女でしょうか。
お母様でしょうか。
それとも相続人全員でしょうか。
これを確認しなければなりません。
だから司法書士はまず、
「相続人は誰ですか?」
を確認します。

「相続人は私だけです」は意外と多い

実務では、
「相続人は私だけです」
と言われることがあります。
しかし詳しく話を聞いてみると、
兄弟姉妹がいたり、
亡くなった兄弟の子どもがいたり、
前婚の子どもがいたりすることがあります。
本人は自分が相続するつもりでも、
法律上の相続人は別の話です。
そのため戸籍を集めて確認する必要があります。

遺言書があるかどうかも重要

さらに遺言書がある場合は話が変わります。
相続人が複数いても、
遺言書によって取得する人が決まっていることがあります。
逆に遺言書がなければ、相続人全員で話し合う必要があります。
これが遺産分割協議です。

なぜ戸籍や遺産分割協議書が必要なのか

よく、
「なんでこんなに書類が必要なんですか?」
という質問を受けます。
しかし考えてみてください。
数千万円の価値がある不動産について、
誰でも勝手に名義変更できてしまったら大変です。
本当は相続人が4人いるのに、
1人だけで名義変更できてしまったら大きなトラブルになります。
そのため、
・誰が相続人なのか
・誰が取得するのか
・全員が同意しているのか
を確認するために様々な書類が必要になるのです。

相続登記は単なる手続きではない

一般的には「名義変更」と呼ばれることが多いですが、
正式には「相続登記」といいます。
相続登記は単に名前を書き換える作業ではありません。
亡くなった方が持っていた所有権を、
誰が引き継いだのかを明らかにする手続きです。
そして、
その不動産について、
誰がお金を払い、
誰が管理し、
誰が決定するのかをはっきりさせる手続きでもあります。

まとめ

名義変更という言葉だけを聞くと、
登録情報を書き換えるだけの簡単な手続きに思えるかもしれません。
しかし不動産の名義変更は、
単なる登録ではありません。
所有者を決める手続きです。
そして所有者とは、
固定資産税を負担し、
不動産を管理し、
売却や活用を決める人のことです。
だからこそ、
戸籍を確認し、
相続人を確定し、
遺言書や遺産分割協議の内容を確認する必要があります。
相続登記が単なる名前の書き換えではない理由は、
これから先の権利と責任の持ち主を明確にするためなのです。