相続登記は自分でできる?司法書士へ依頼するメリットとは

HOME | 知っておきたい法律情報 | 相続登記は自分でできる?司法書士へ依頼するメリットとは

相続登記は自分でできる?司法書士へ依頼するメリットとは

相続登記は自分で行うことができます。
最近ではインターネットで調べれば、相続登記の申請書の記載例や遺産分割協議書のひな形も見つかります。
そのため、
「司法書士に頼まなくても自分でできるのでは?」
と思われる方も少なくありません。
実際、その考え方は間違いではありません。
相続登記は司法書士でなければできない手続きではなく、相続人ご自身で申請することも可能です。
しかし、実際に手続きを進めてみると、多くの方が想像していた以上に苦労することになります。
今回は、相続登記を司法書士へ依頼するメリットについて分かりやすくご説明します。

相続登記の申請書は意外と作れる

相続登記の申請書は法務局のホームページにも記載例があります。
遺産分割協議書についてもインターネット上に多くのひな形があります。
そのため、書類を作ること自体は不可能ではありません。
頑張って調べながら進めれば、相続登記を完了させることもできるでしょう。
しかし、実際に難しいのは書類作成ではありません。
本当に難しいのは、
「何を作ればよいのか」
を判断することです。

相続登記は書類作成より判断が難しい

例えば、
・戸籍はこれで足りているのか
・相続人は本当に全員把握できているのか
・遺産分割協議書は必要なのか
・法定相続分で登記できるのか
・不動産は漏れなく確認できているのか
・固定資産評価証明書はどれなのか
・登録免許税はいくらになるのか
このような判断が必要になります。
相続登記は単純な書類作成作業ではありません。
状況に応じて必要な書類や手続きが変わるため、正しい判断が求められます。
司法書士はこうした判断を日常的に行っています。
そのため、相続登記の本当の価値は書類作成ではなく、専門家としての判断力にあると言えるでしょう。

登記制度そのものが分かりにくい

一般の方が相続登記で苦労する理由はもう一つあります。
それは、登記制度そのものが分かりにくいことです。
例えば、
・法務局とは何をしている役所なのか
・登記簿とは何なのか
・権利証とは何なのか
・登記識別情報とは何なのか
・登録免許税とは何なのか
こうした言葉は普段の生活ではほとんど使いません。
司法書士にとっては当たり前の言葉でも、多くの方にとっては初めて聞く言葉ばかりです。
相続登記を自分で進めようとすると、まず登記制度を理解するところから始めなければなりません。

権利証と登記識別情報の違いも分かりにくい

実際のご相談では、
「権利証あります」
と言われて確認すると、登記事項証明書だったということも珍しくありません。
一般の方からすると、
法務局の書類
不動産の情報が書いてある紙
大事そうな書類
という認識なので、違いが分からなくても無理はありません。
また、現在は昔の和紙で作られることが多い権利証に代わって「登記識別情報」が発行されています。
ところが、この登記識別情報は発行しないことも可能です。
もし突然、
「登記識別情報を発行しますか?」
と聞かれたらどうでしょうか。
おそらく多くの方は、
「登記識別情報って何ですか?」
という状態になると思います。
実務上は発行することがほとんどですが、そもそもその判断自体が難しいのです。
相続登記には、このような専門知識が前提となる場面が数多くあります。

どの書類が大切なのか分からない

相続登記では多くの書類が登場します。
しかし一般の方からすると、
どの書類が重要で
どの書類が再発行できて
どの書類が不要なのか
分からないことが多いと思います。
例えば、
戸籍は再取得できます。
住民票も再取得できます。
登記事項証明書も再取得できます。
しかし、登記識別情報はそう簡単ではありません。
大切な書類を何気なく処分してしまうケースもあります。
司法書士は必要書類と不要書類を整理しながら手続きを進めることができます。

相続人が多いとさらに大変

相続人が妻と子だけであれば比較的手続きを進めやすいかもしれません。
しかし、
兄弟姉妹相続
代襲相続
相続人が複数いるケース
になると難易度は一気に上がります。
相続登記で大変なのは、書類作成だけではありません。
人をまとめることです。
必要書類を案内し、
印鑑証明書を集め、
遺産分割協議書へ署名押印をもらい、
全員の意向を確認する。
相続人が増えるほど手続きは複雑になります。
司法書士が窓口になることで、こうした負担を軽減することができます。

仕事をしながら進めるのは意外と大変

相続登記を自分で行う場合、
役所
法務局
金融機関
などへ行く必要があります。
しかし、これらの多くは平日日中しか開いていません。
仕事をしながら戸籍を集め、
書類を確認し、
法務局へ相談し、
申請書を作る。
決して不可能ではありません。
ただ、想像以上に時間はかかります。
相続手続きは人生で何度も経験するものではありません。
そのため、一つ一つ調べながら進める必要があります。

司法書士へ依頼する最大のメリット

相続登記を司法書士へ依頼する場合、当然ながら費用がかかります。
案件によって異なりますが、司法書士報酬が10万円前後になることもあります。
これを高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。
ただ、その費用は単に申請書を作成するためのものではありません。
・戸籍収集
・相続人調査
・必要書類の判断
・遺産分割協議書の作成
・登記申請
・法務局対応
・手続き全体の管理
こうした専門的な業務に対する費用です。
相続登記を自分で行うことは可能です。
しかし、
時間がかかる
判断が難しい
ミスをする可能性がある
という現実もあります。
司法書士へ依頼する最大のデメリットは費用がかかることです。
逆に言えば、それ以外については多くの場合メリットの方が大きいでしょう。
もし専門家へ依頼するメリットがなければ、そもそも司法書士という職業は存在しないはずです。
相続登記は自分で行うこともできます。
ただ、「できること」と「自分でやった方がよいこと」は別の話です。
普段から登記や相続に携わっている専門家の知識というものは、なかなか侮れないものなのです。